税務調査が入った場合には、特定の税目や期間について、帳簿書類などの内容と申告の内容とに矛盾がないかどうかが検査されます。その際、帳簿書類を税務署員を見せたり、提出することを求められたりすることがあります。場合によっては、帳簿を税務署員が預かって税務署まで持ち帰り、そのまま留め置いて後日返却となることもあります。こうしたことがらについては、税務署員としても納税者の意向を確認して任意で行うという形式をとることがほとんどですが、実際問題としては、納税者サイドから拒むことは難しいといえるでしょう。

国税通則法とよばれる法律には、税務調査の際の関係書類の提示、提出、書類の留置きといったことがらについて規定しており、必要があれば税務署員はこうしたことを行ってもよいとされているからです。しかも、税務調査にあたって正当な理由がなく書類の提出などを拒否した場合には、1年以下の懲役刑または50万円以下の罰金が科せられるということも法律には書かれています。それでは、どのような場合が法律に掲げる正当な理由に当たるのかといえば、個別具体のケースに即した税務署としての判断となり、究極的には裁判所で白黒をつけるという話になりますので、明確に示すことは困難です。ただし、一般的に正当な理由として国税庁で例示しているものとしては、提出を求められた帳簿書類が火事で焼けてしまって物理的にすぐに提出することが困難な場合などが挙げられます。

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